ぼたえもん童話集 『ぽんぽん山』⑧

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ぽんぽん山がなりひびくときには、この国の王さまは、

さっそく大川で水を浴びて身を清め、真夜中に

家来もつれず、自分一人この山に登ってご神託を

受けてくるというのがならわしになっていました。


そこで、王さまご自身でぽんぽん山にお登りになり、

お宮の中へはいって、いっしょうけんめいご神徳を

お願いになっておられますと、白髪の年よりが出てきて、


「さあ、どうぞこちらへ」 といいながら、自分が先に立って、

そのお宮のうしろの道へと出ました。


王さまは、心の中で、


「どこへつれて行くのだろう」


とあやしみましたが、とにかく、だまって年よりの行く

ほうへとついて行きました。


やがて、二人は、谷をくだって、けわしい道を奥へ

奥へと進んで行きました。


木のあいだをもれる月影に、谷間の水が照らされて、

ちょうど水晶の数珠が流れているようでした。



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このページは、出口眞人が2010年8月18日 14:12に書いたブログ記事です。

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