ぼたえもん童話集 『ぽんぽん山』⑥

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ああ、そんなら、あれは神さまだったのか、三郎丸は

ふとい吐息をもらしながら、スタスタと峠をくだって

行きました。


そうして、家へ帰るあいだ、口の中で、くりかえし、くりかえし、


「ぽんぽんとぽんぽん山の腹鼓、宝の蔵は

いまぞぽんぽん」 といううたをとなえてみました。


「いったい、これは、どういう意味のうたなんだろう?

へんてこなうただなぁ」


三郎丸は、いっこうわけがわかりませんでした。


けれど、なんだか調子がよいので、すぐおぼえて

しまいました。しかし、ふしぎなことには、雨が

降って陰気な晩や、お金がたりなくてお米が

買えぬ日などには、口の中で、このぽんぽんうたを

うたいさえすれば、急に元気が出てくる。


仕事は、しらぬまにあちこちからいうてきて

くれるというふうなので、三郎丸は、心の中で、


「なるほど、これはけっこうなうただわい」


と、さとりました。


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このページは、出口眞人が2010年8月18日 13:56に書いたブログ記事です。

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