ぼたえもん童話集 『ぽんぽん山』⑤

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その年よりがことわるのもきかずに、三郎丸は、

むりやりに背中の荷物をおろしてやって、そして自分で

背負いながら、とうとう峠のいただきまで送って

行きました。 そして、二人は、しばらく、いただき

の松の根で休みました。


そのとき、年よりは、うれし泣きにくれながら、


「あなたのご親切は、一生忘れません。さて、そのお礼

として、わたしがいま、ここでよいことをお教え

いたしますから、どうぞよくおぼえていてください」


と前おきをして、年よりは、急に大きな声で、


「ぽんぽんとぽんぽん山の腹鼓、宝の蔵は

いまぞぽんぽん」 と、三べんくりかえしてさけんだかと

おもうと、もう、その姿は煙のように消えて、見えなく

なってしまいました。


三郎丸が、あっとさけんで立ちあがったときには、

もう、その姿はすっかり消えてしまって、なにやらピカリ

と空で光っただけでした。



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このページは、出口眞人が2010年8月18日 13:48に書いたブログ記事です。

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