ぼたえもん童話集 『アリと神さま』①

| コメント(0) | トラックバック(0)


アリが、あるとき、神さまに不足をもうしました。


「神さま、あなたもご存じのとおり、わたしは生まれて

からこのかた、まい日まい日汗水たらしてはたらいております。

しかし、いっこうに出世もしなければ、幸福〔しあわせ〕にも

なりません。このあいだも馬めがとおりまして、

わたしたちの、せっかく、長年かかって造りあげた

市街〔まち〕を、『あっ』というまにメチャメチャに踏みにじって

しまいました。 神さま!!  世界でわたしたちほど正直で、

勤勉なものはないと思っておりますのに、こんなみじめな目に

あうとは、いったい、どうしたわけなんでしょうか」


神さまは、静かにもうされました。


「おまえ、馬になる気はないか」

「わたしのようなものが、馬になれるでしょうか」


アリは、目をみはって答えました。


「それはなれる。も少し正直に、も少しなにかにせいだしたら

きっとなれるよ」

「わたしは、馬になりとうございます。では、これから

ぃっしょうけんめいにはげみます」


アリは、神さまのおっしゃったことを深く心にとめて、

それからというものは、前よりもいっそう正直に

いっそう勤勉にはたらきました。




トラックバック(0)

トラックバックURL: https://www.kameho.info/mt/mt-tb.cgi/139

コメントする

2010年8月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

アイテム

  • hati-to-roku.jpg
  • gosikino-tama.jpg
  • murabito.jpg
  • rokusuke.jpg
  • hatibee 5.jpg
  • hatibee 4.jpg
  • botaemon.JPG
  • hatibee 3.jpg
  • hatibee to 2.jpg
  • hatibeeto-rokusuke.jpg

このブログ記事について

このページは、出口眞人が2010年8月18日 14:56に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「「ぼたえもん童話集」について・・・」です。

次のブログ記事は「ぼたえもん童話集 『アリと神さま』②」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。