ぼたえもん童話集 『 汗 壺 』⑤

| コメント(0) | トラックバック(0)


そして、それからは、他人をうらやまず、他人のものをほしがらず、
つねに身をへりくだって、わきめもふらずにはたらきました。
壺の汗もドンドンふえていって、ちょうどこの国へ来てから三年目に、
本国に帰ることを許されました。

いよいよ明日は帰れるという晩は、うれしくてうれしくて、カナンは
胸をワクワクさせながら床につきました。すると夜中ごろに、
「さあ、カナン、目をおひらき」
と耳もとで呼ぶ声がしました。聞きおぼえのある声なので、
フッと目を見開きますと、いつの間にか、寒い風に吹かれ
ながら、家の外に立っているのでした。

「やあ、あなたはいつかのお爺さんでしたね」
カナンはなつかしげに側に立っている白髪の老人に気がついて、
そう呼びかけました。老人は、
「ここは氏神の森だよ。約束どおり、今、連れて帰ってやったところだ。
おまえは三年も修業をやってきたように思っているが、まだ1時間も
たたぬくらいだ。さあ、もうよいからお帰り」
と、いったかとおもうと、その姿は見えなくなってしまいました。
カナンは、
「神さま、いろいろありがとうございました。ご神徳で私も今まで
悪かったことを悟らしていただきました」
と、ていねいにお礼をのべて、まだ自分のゆくえをさがしまわって
いる家へと帰りました。

それから、カナンは、生まれかわったようにりっぱな人間に
なりました。
そして、貧乏人をあわれみ、よくの深い人をしりぞけて、お父さん
のなくなったあとは、王さまを助けて、りっぱな政治をいたしました。



kanan 5.JPG


トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.kameho.info/mt/mt-tb.cgi/154

コメントする

2010年8月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

アイテム

  • hati-to-roku.jpg
  • gosikino-tama.jpg
  • murabito.jpg
  • rokusuke.jpg
  • hatibee 5.jpg
  • hatibee 4.jpg
  • botaemon.JPG
  • hatibee 3.jpg
  • hatibee to 2.jpg
  • hatibeeto-rokusuke.jpg

このブログ記事について

このページは、出口眞人が2010年8月19日 15:39に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「ぼたえもん童話集 『 汗 壺 』④」です。

次のブログ記事は「ぼたえもん童話集 『 虎猫の失敗 』①」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。