ぼたえもん童話集 『蛾と芋虫』①

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ガとイモムシとが、あるところで出あいました。


ガ 「おや、そこに、あいかわらずウジウジとしているのは、

イモムシくんではないか」


イモ 「やあ、あなたさまはガ先生ですか。どえらいご出世

でございますな。たった二、三日前までは、われわれといっしよに、

こんなきたないところにウジウジしておられたのに、なんと、

かわればかわるものですなぁ」


ガ 「きみはいったい今までそんなところでなにをしているのだ。

なぜ、もっと思いきって、いっそくとびに、われわれのような

身分にならないのだ」


イモ 「いや、なりたいのはやまやまですが、まだ修業が

できませんので」


ガ 「修業もくそもあるものかい。おもいきって飛びさえしたら

よいのだ。わしらだって、ガになるためには、なんの修業もした

わけではない。ただ、急に、地上がいやになって、いっそくとびに

友だちと飛ぶまねをして、ちょっと飛びあがってみたまでだ。

そしたら、自然に空に舞いあがることができたまでだ。

それに、第一、バカじゃないか、そこのところのリクツは

よくわかりきっているのに、いつになってもツベコベと

こ生意気なこリクツばかりならべて、そのくせ、きたない土の

上をやっとはっているだけじゃないか。なぜ、ぼくがいうように、

思い切って飛び上がってみんのじゃ」





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このページは、出口眞人が2010年8月18日 15:19に書いたブログ記事です。

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